バターバトラーは実在した?!初代店長が語る、ブランド誕生秘話と10年の歩み

JOURNAL

vol.1 | 2026.07.17

バターバトラーは実在した!?
初代店長が語る、ブランド誕生秘話と10年の歩み

2026年4月、バターバトラーはブランド誕生10周年を迎えました。今回は、立ち上げ時に初代店長を務めた長部竜人さんにインタビュー。「本物のバトラー」として店頭に立った当時の裏話や、忘れられないお客様との思い出など、初代店長だからこそ知るエピソードとともに、バターバトラーと歩んだ10年間を振り返ります。

長部竜人(おさべ・たつひと)
2015年株式会社シュクレイに入社後、2016年4月15日バターバトラー初代店長に就任。現在は販売本部マネージャーとして、数々のブランド運営に携わる。

バター不足の時代に、あえてバターを主役に

看板商品「バターフィナンシェ」
ブランド誕生から10周年を迎えられたバターバトラーですが、そもそもどのような思いで立ち上げられたブランドなのでしょうか。

長部:ニュウマン新宿の開業に合わせて、新しいスイーツブランドを立ち上げることになったのが始まりでした。当初はまったく異なるブランドを開店させようと企画を進めていたのですが、あるとき、「バタースイーツの専門店はどうだろう」という話が持ち上がったんです。2015年頃は、「バター不足」が問題になっていた時代でした。そんな状況だからこそ、あえてバターを主役にしたスイーツ専門店を作ろう、と。

その発想は、戦後間もない頃、「甘いものがなかなか食べられない時代だからこそ、誰もがおいしいお菓子を楽しめるように」という思いで和菓子店を開いた創業者・河越庄市の精神とも重なるものでした。

バターが不足している時代だからこそ、あえてバターを主役にする。そんな挑戦のなかから生まれたのが、バターバトラーだったのです。

オープン時のイメージビジュアル
かなり挑戦的ですよね。

長部:そうですね。当時はバターの調達にも相当苦労したと聞いています。世界中の産地からどうにか良いバターを確保しようと、みんなで走り回りながら開店準備を進めたそうです。

そんななか、長部さんはどのような経緯で店長に?

長部:新ブランドの立ち上げが進むなかで、スイーツのわき役=バター、ご主人様のそばにつかえるわき役=バトラーをかけて、バトラーがブランドコンセプトに。現在のロゴが制作されました。すると社内で、「このロゴに似ている社員はいないか」という話になったそうで。

それまで私は、東京駅や羽田空港の店舗スタッフとして勤務していたのですが、どこからか私の名前が挙がったらしく、ある日突然、本社へ呼ばれました。

当時営業部長だった社長と一緒にデザイナーさんのもとへ向かうと、私の顔を見るなり、「私が描いたのは、この人じゃないですか」とおっしゃったんです(笑)。もちろん実際にはロゴが先ですが、その場で「じゃあ長部くんがバトラーだ。これから店長としてよろしく」と社長に言われまして。気がついたら、“バターバトラー”としてお店に立つことになっていました(笑)。

“本物のバトラーがいる!” 話題を呼んだオープン秘話

店長へと大抜擢された長部さんですが、店舗オープン前日にはあるアクシデントがあったそうですね。

長部:はい。今でこそ笑い話なんですが、実はオープン前日に髭を剃ってしまったんです。オープン初日からバトラー姿で店頭に立つことが決まっていたのに、気合を入れる習慣で剃ってしまって(笑)。剃った瞬間に「これはまずい……」と思いました。

慌ててデザイナーさんに相談したところ、「付け髭を用意します」と言っていただいて。なんとか付け髭でオープン初日を迎えることができました。

その姿が、思いのほかお客様に好評だったんです。「本物のバトラーがいる!」と話題になり、「一緒に写真を撮ってください」と声を掛けていただくこともたくさんありました。私が休みの日には、「今日はバトラーさんはいないんですか?」と聞かれることもあったそうで、うれしかったですね。

ブランドとともに歩んできた10年のなかで、特に印象に残っている出来事はありますか。

長部:やはり2017年度、第1回目の「JR東日本おみやげグランプリ」です。ニュウマンには人気店が数多くあるなかで、推薦店舗に選んでいただけたことがまずうれしかったです。

特に印象に残っているのは、「話題性ではなく、接客やお店の雰囲気を評価した」と担当の方に言っていただけたこと。当時バトラーの格好で店頭に立っていたこともあり、少しずつメディアに取り上げていただく機会も増えていました。でも、見た目のインパクトだけでなく、店舗全体の取り組みを評価していただけたことが何よりうれしかったですね。

「バターフィナンシェ」の初代グランプリ受賞後は本当に状況が変わりました。開店前から行列ができ、朝から夜までレジが止まらない日が続きました。新宿の街でバターバトラーの紙袋を持っている方を見かけることも一気に増え、スタッフの間では「バトラー現象」と呼んでいたほどです。

「JR東日本おみやげグランプリ」授賞式の様子
グランプリ受賞の背景には、接客への強いこだわりもあったのでしょうか。

長部:そうですね。私たちが大切にしているのが、シュクレイの「超試食販売」という考え方です。

売上ももちろん大切ですが、それ以上にまずは味を知っていただくこと。そのために、お店に来てくださる方はもちろん、お店の前を通る方にも「ぜひ食べてみてください。本当においしいので」とお声がけしながら試食をお渡ししています。

開店当時はまだバターバトラーという名前も知られていませんでした。だからこそ、まずは商品を知っていただくことが何より大切だったんです。スタッフにも、「気持ちの良い接客をすること」「目の前のお客様を大切にすること」を伝え続けていました。そうやって少しずつファンになってくださる方が増え、その積み重ねが今のバターバトラーにつながっているのだと思います。

ご主人様一人ひとりとの出会いが、ブランドを育ててくれた

バターバトラーではお客様を“ご主人様”とお呼びしていますが、忘れられないご主人様との出会いはありますか。

長部:ニュウマン新宿店がオープンして、しばらく経った頃のことです。毎朝同じ時間に店舗の前を通るサラリーマンのお客様がいらっしゃいました。私は毎朝「おはようございます。試食いかがですか?」とお声がけしていたのですが、いつも「いらないよ」と断られていたんです。

それでも懲りずに声をかけ続けていたある日、その方が「わかったよ」とひと言。でもいつものようにそのまま行ってしまわれて、「何がわかったんだろう」と思っていたんです。

すると、その日の夕方に再びお店へ来てくださって。「いつも声をかけてくれてありがとう。実は最近、朝君に声をかけてもらうのが楽しみなんだよ」と言ってくださったんです。そして初めてフィナンシェを召し上がって、「これ、うまいな」と。

そのあと、会社のみなさんへのお土産にと、12個入りのバターフィナンシェを50箱ほどご購入くださいました。後から聞いたら、その方は会社の社長さんだったんですよ。

まさに“お店の前を通る方もお客様”という考え方が伝わるエピソードですね。

長部:そうなんです。あのときは「声をかけ続けてよかったな」と心から思いました。店頭に立っていると、「知人からおすすめされて」「手土産でもらっておいしかったから」とご来店くださる方もたくさんいらっしゃいます。そうやって人から人へとつながりながら、ご主人様とのご縁が広がっていったことが、バターバトラーの10年を支えてくれたのだと思います。

10周年限定パッケージと限定ノベルティ
最後に、10年間を支えてくださったお客様へのメッセージをお願いします。

長部:2026年4月、バターバトラーはブランド誕生10周年を迎えることができました。ここまで歩んでこられたのは、ご主人様であるお客様をはじめ、スタッフやお取引先様など、支えてくださったすべての皆さまのおかげです。心より感謝申し上げます。

10周年となる今年は、限定商品やイベントなど、これまでの歩みを感じていただける企画を多数ご用意しています。これからも「バターが主役」のスイーツブランドとして、日常に小さな幸せをお届けできる存在であり続けたいと思っています。

そして、最後にひとつだけ。バターフィナンシェを召し上がる際は、ぜひ袋から取り出して半分に割り、香りを楽しんでから味わってみてください。私たちがこだわり続けてきたバターの魅力を、より感じていただけると思います。

今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願いいたします。